2015年6月京都公演 キャスト(登場順)
古澤亨(ふるさわ・とおる) ガザ通信アンサンブル
今から5年前までは社会運動とは一切縁もなく、ふとしたきっかけからここに集う人たちの輪に加えてもらいました。パレスチナ、グアテマラ、イラク、シリア、旧日本軍性奴隷問題、原発、沖縄、広島で軽々と飛翔するつばめたち(国境なき朗読者たちメンバー)に助けられ教えられ、これらの事象をゆっくりひも解いてみれば、そこに現れる共通項に驚愕しました。自分自身が暮らすこの京都でもフラクタルが展開しているではないか、このテクストに登場する人々(あるいは書き手)の声は、かつてノンポリだった自分と同じ人たちの心に届くのだろうか?公正を希求し抑圧されたものたちへの共感を秘めたる想いとして押し隠しながら生きている人たちは必ずいるのだ、そしてその声が届けばその中から行動する人が必ずあらわれるはずだと信じ、声を上げたいと思います。
ダイスケ (だいすけ) 「ガザからの手紙」ぼく、「ガザ通信」アンサンブル、アルベルト・アルセ(インターナショナルズの証言)
今回で8回目の朗読。「なぜ」、続けるのか? 4年前、4回目の公演前に、パレスチナに初めて行ったこと。そびえる高い壁、イスラエルの監視用のタワー。イスラエル兵士は、完全装備でライフルを持っていた。チェックポイントではバスから必ず降ろされた。デモでは、放水車と催涙ガスを撃つイスラエル兵に、石を投げるパレスチナの子供。本で読み、写真を見て、想像していた通りだった。しかし・・・ナビサラの村、12歳の青年が、デモの間、イスラエル兵を恐れることなく、本気の形相で立ち向かっていた。でも、合間に僕に見せてくれた笑顔。ジェニンの難民キャンプ、家に泊めてくれた16人家族のファミリーは暖かく、一緒に野菜の収穫に行った。そこで響く8歳の少女イリアの元気な笑い声。へブロンのイブラヒム・モスク、日本人であるぼくは簡単に入れたのに、ヘブロン大学の友人たちはIDを提出し、執拗にチェックを受けていた。1人は、イスラエル兵2人に10分以上も。漸くくぐり抜けてきた時、必死に涙が流れないように堪えていた彼の目――。この朗読劇を聴いてくれた方の心の片隅に、何かを残せれば。
市川森彦(いちかわ・もりひこ) 「ガザ通信」アンサンブル、ムスタファー(ガザからの手紙)、ナタリー・アブーシャクラ(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部5回生。パレスチナを学び始めて1年半目の夏、初めて聴いた朗読を前に、あまりに激しく辛いガザ攻撃の描写に胸が痛くなった。文字と写真と映像でしか知らないパレスチナに、自分の言葉として声にすることで、近づかなければという気持ちにさせられる。直接かかわりがあるとは言えない日本の私たちはガザへいかに応答すればよいだろうか?その一つの答えが朗読劇であり、朗読劇を通してさらなる答えを見出したい。
山本久子(やまもと・ひさこ)レイチェル・コリー、「ガザ通信」アンサンブル
月に一度、保育園で子供たちに昔話やお話を語っています。日本に暮らす子供たちとパレスチナの子供たち、どの子もみんな愛くるしい笑顔です。パレスチナの人々に降りかかる災厄を、私たちは、ニュースやマスコミに取り上げられなければ忘れてしまいがちです。でも、パレスチナで行われている暴力や抑圧は、今も続いていることであり、現実です。そのことを「忘れないで。」というメッセージを伝えることができれば、そして、子供たちが毎日を笑顔で過ごせますように、という思いを込めて…。
朴利明(パク・りみょん) 「ガザ通信」アンサンブル、ヴィットリオ・アッリゴーニ(インターナショナルズの証言)
在日朝鮮人3世です。この10年ほど京都市で細々と、だけどいきいきと生活しています。私はおよそ10年前に将来への大きな希望と初めてだらけの不安まじりに大学進学のために九州の田舎まちから京都にきました。その距離およそ1000km。この10年、たくさんの替えられない経験をさせてもらいました。色んな場所に行って色んな人々と出逢ってきました。そしてきっとこれからも…
僅か360平方kmの土地に180万人もの人々が閉じ込められているーガザの現実のほんの僅かでも知ったとき、私が最初に思ったのはそこに生きる人たちはどんな夢を描くのだろう、何に希望を寄せるのだろう、ということでした。どんなに勉強に励んでも世界をまたにかけて活躍する何者かになる、という夢なんてまるで現実味がなどころか、仕事もろくにないそこから出ることすらかなわないかもしれない。ただ抵抗のために費やされる人生をどう捉えたらいいのか…
劇中、「僕」の「ガザが嫌いだった」という言葉に胸がつまります。敗北の臭いに満ちたその土地を捨てたかった彼の言葉がとても痛く突き刺さる。それでも「僕」は残った。インターナショナルズの若者たちも残った。何かを証明するために、伝えるために。
「ガザ 希望のメッセージ」と題されたこの朗読劇、<希望>を見出すにはあまりに絶望的な状況において、それは祈りのようなものなのかもしれません。でも、だからこそ全力で読みます。是非、全力で聴いてください。
渡邉文隆(わたなべ・ふみたか) 「ガザ通信」アンサンブル、シャロン・ロック(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部OB。「自分とは異なる境遇にある人へどれだけ思いを寄せられるか、にずっと関心がありました。大学時代は2回休学し、ブラジルとウガンダに約1年ずつ暮らして、様々なセクシャリティ、宗教、健康状態、国籍の人と一緒にHIV/エイズに関するボランティアをしていました。卒業後は民間企業で「相手の気持ちや状況を考えること」が仕事になるマーケティングという職務に熱中しました。
誰もが忙しく、ある意味では安全な日常を生きている日本社会において、ガザの人々の境遇に思いを寄せることは容易ではないと感じます。しかし、多くの子どもの命が理不尽に奪われてきたガザの現実に、自分自身が二児の父になって、どうしても目を背けられなくなりました。ガザの人々と自分たちの間の壁を越えたい、越えようと努力するなかで見えるものを観客の方々と共有したい、と思って、2015年の公演に参加しました。
神谷侑世 (かみや・あよ) 「ガザ通信」アンサンブル、ジェニー・リネル(インターナショナルズの証言)、ナディヤ(ガザからの手紙)
京都大学総合人間学部3回生。この朗読劇は観客として一度、役者として二度関わり、今回が三度目になります。前回の初舞台を経て、「知る」とは一体どういうことなのか、考えました。私たちはニュースや新聞の報道を通じて、程度の差はあれ、ガザやパレスチナについて知っていると思います。そこがどんな地域で、そこで何が起きているのか。けれど、その「知っている」はあくまで知識を持っているということに過ぎないのではないでしょうか。メディアで報道されたことが「ガザ」ではありません。データや数字の羅列だけが「ガザ」ではありません。嘆きや悲しみが「ガザ」のすべてではありません。私たちはまだまだ「ガザ」を「知らない」のです。
私は、この朗読劇を通じて、メディアの報道では知りえない「ガザ」を「知る」ことができると思っています。私はこの劇を観て「戦争」を知りました。演じることで「ガザ」を知りました。知識でとどまっていたものが、肉付けされ、自分の中に入ってきました。この「知る」という営みは終わりが見えません。「知った」と思ったことはどんどん変化していきます。それでも、いくら大変なことでも、知った気になってそこにとどまることだけはしたくない。ほんの少しずつでも、とてもゆっくりとでも、「知り」続けようとしていたい、そう思います。グローバル化が進み、「世界の中の日本」となっていくのならば、世界で起きている問題を他人事として知った気になっていてはいけないと思うのです。 この朗読劇との出会いが、みなさんにとって「ガザ」や「戦争」を新しく「知る」きっかけになればと、そう願います。
河本佳奈(かわもと・かな) 「ガザ通信」アンサンブル、エヴァ・ヤシエヴィッチ(インターナショナルズの証言)
京都大学文学部5回生、西洋美術史専修です。高校の世界史便覧で見たルネサンス美術に魅かれたことがきっかけでした。ラファエロを研究テーマとしています。昨年度は休学し、イタリアへ語学留学、バックパックで教会・美術館巡りを経験してきました。
なぜ、人は他人に対し優位であろうとし、その為に他人を傷つけるのか―そして、ついには命までをも奪ってしまうのか。その先に生まれるのは、深い悲しみだけなのに。この朗読劇は、数字を伝えるニュースではありません。その数字で表される全ての人たちに、ひとつひとつの物語があると語っています。このことを忘れ見失っているがために、悲しみを生む行為が繰り返し続けられているのではないかと思います。全ての人が、もちろんそれは自身も、誰かに愛され、誰かを愛している素晴らしい物語を持っていることを心に留めてくれますように。そしてどうか、もうこのような悲しみがこの世からなくなりますように。朗読を通して祈ります。
2015年大阪/三重公演 キャスト(登場順)
古澤亨(ふるさわ・とおる) ガザ通信アンサンブル
「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とはつばめクラブの会則ではなく日本国憲法の前文ですが、ここにある「われら」とは決して日本国民に限らないのだ、そして、パレスチナ、グアテマラ、イラク、シリア、旧日本軍性奴隷問題、原発、沖縄、広島で軽々と飛翔するつばめたち(国境なき朗読者たちメンバー)に助けられ教えられ、これらに通底する驚愕すべき共通項に恐れおののきながら、このテクストに登場する人々(あるいは書き手)の声は、かつてノンポリだった自分と同じ人たちの心に届くのか?いやきっと公正を希求し抑圧されたものたちへの共感を、秘めたる想いとして押し隠しながら生きている人たちはたくさんいるのだ、と信じ、声を上げたいと願います。
5年前までは社会運動とは一切縁がなく、ひょんなことからここに集う人たちの輪に加えてもらったのはいいが、さて自分に何が出来るか?との問いに悩むことになってしまった、リセット能力ならダイスケさえも打ち負かす、山とJAZZのアドリブに魅せられた京都洛外在住者。
この朗読劇のプロデューサーの安藤栄里子さんの想いを思い起こし、『いま、ここ』に自分があることを感謝します。
「ガザからの手紙」ぼく役、ガザ通信アンサンブル、アルベルト・アルセ(インターナショナルズの証言)
今回で7回目の朗読。「なぜ」、続けるのか?
4年前、4回目の公演前に、パレスチナに初めて行ったこと。そびえる高い壁、イスラエルの監視用のタワー。イスラエル兵士は、完全装備でライフルを持っていた。チェックポイントではバスから必ず降ろされた。デモでは、放水車と催涙ガスを撃つイスラエル兵に、石を投げるパレスチナの子供。本で読み、写真を見て、想像していた通りだった。しかし・・・
ナビサラの村、12歳の青年が、デモの間、イスラエル兵を恐れることなく本気の形相で立ち向かっていた。でも、合間に僕に見せてくれた笑顔。ジェニンの難民キャンプ、家にとめてくれた16人家族のファミリーは暖かく、一緒に野菜の収穫に行った。そこで響く8歳の少女イリアの元気な笑い声。へブロンのイブラヒムモスク、日本人であるぼくは簡単に入れたのに、ヘブロン大学の友人たちはIDを提出し、執拗にチェックを受けていた。1人は、イスラエル兵2人に10分以上チェックを受けていた。ようやくくぐり抜けてきた時、必死に涙が流れないように堪えていた彼の目。
聞いてくれた方の心の片隅に何かを残せれば。
井上浩孝(いのうえ・ひろたか)
ガザ通信アンサンブル、ヴィットリオ・アッリゴーニ(インターナショナルズの証言)
中東…、教科書や新聞で読んだくらいしか知らない。さらにパレスチナは報道写真雑誌『DAYSJAPAN』で目にするくらいだった。目をそむけたくなるような凄惨な写真を見たが、私には遠い世界のことだった。日本の外に出るようになって、パレスチナで活動している日本人に会った。今、起こっていることだったんだ。明日にも消されてしまうかもしれない世界。忘れられてしまう真実。自分が本当のことを見ているのか、疑わしくなった。その直後から、この朗読劇に参加している。何がそうさせているのかわからない。何かしなくてはいけないとほっとけないと、きっと誰もが思っていると思う。小さく頼りなくとも声を出すことが、その私たちの人間性の一部を取り戻す何かになるのなら、やはりやらなくてはいけない。“関係なかった”私が今、関わろうとしている。朗読劇のメンバーと観客のみなさんとその真実を見つける時間を共有したい。
レイチェル・コリー、ガザ通信アンサンブル
月に一度、保育園で子供たちに昔話やお話しを語っています。日本に暮らす子供たちとパレスチナの子供たち、どの子もみんな愛くるしい笑顔です。 パレスチナの人々に降りかかる災厄を、私たちは、ニュースやマスコミに取り上げられなければ忘れてしまいがちです。でも、パレスチナで行われている暴力や抑圧は、今も続いていることであり、現実です。そのことを「忘れないで。」と言うメッセージを伝えることができれば、そして子供たちが毎日を笑顔で過ごせますように、と言う思いを込めて…。
ナレーション、ガザ通信アンサンブル
3年ぶりに朗読劇に戻ってきました。2014年夏、耳慣れたパレスチナ・ガザの地名がニュースで聞こえてきた。「ベイトハヌーンが!ラファが!」。またもやイスラエルによるガザへの空爆、地上戦が強行されたのだ。朗読劇で、何度も自ら語り、また聞いたことのあるところが攻撃されていく。今までになく身近に感じた。少しでも連帯の気持ちを表したくて今回の朗読劇に参加することにした。ふだんは、日本軍性奴隷問題の解決を求める活動に力を入れており、特に台湾の被害女性との交流を重ねてきた。尊厳あふれるおばあさんたちと接し、あきらめず楽しくたたかうことを学んだ。朗読劇は公演を重ね、すごく進化している。今回私は新しい気持ちで、熱いメッセージを伝えたい。
ガザ通信アンサンブル、シャロン・ロック(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部一回生です。最初は「朗読」という言葉にひかれて入団させていただきました。文化環境学入門の講義で岡真理教授にパレスチナの様子を一部見せ
ぱく・りみょん(ぱく・りみょん)
ガザ通信アンサンブル、「ぼくからの手紙」ムスタファー役、ナタリー・アブー・シャクラ(インターナショナルズの証言)
京都で細々と暮らしています。
今回、朗読劇に参加することになったきっかけはたまたま縁があったからですが、テキストに向かい合うたびに自身の想像力の乏しさを痛感します。この間、どうやったら希望のメッセージを届けられるだろうかと考えていました。空爆がないときであっても封鎖のために360平方キロメートルほどの土地に180万人近くの人々を閉じ込める「天井なき牢獄」の日常が続くなかで、どんな希望のメッセージを届けられるだろうか。
「ぼくは、ガザが嫌いだった。ガザの人間が嫌いだった。」
こう語りながらも、ガザに残る決心をした青年の思いとはどのようなものだったのか。それぞれの故郷で愛するひとたちが待っているのに、命を賭けてガザに留まることを決意した国際連帯運動のメンバーたちの思いはどのようなものだったのか。自分個人の幸福のための選択を誰からも否定されてはならないでしょう。生きたい生が否定される場所、最も基本的な自由さえも奪われる場所から逃げること、別の生を違う場所で選ぶことは権利だと私は思います。
しかしそのガザの青年は、インターナショナルズは留まった。どうしてだろうか。
自身が見たとおりのことを見てしまったときに、何かが決定的に変わってしまったのかもしれません。そこを離れて別の場所に行っても、故郷に帰っても、もうそれまでと同じようには幸福を描くことも、愛することも不可能な人間へと変化したのかもしれません。そこには虐げられた人々への共感、連帯の感情、そして(陳腐で時には暴力的な言葉に響くかもしれませんが)正義をもとめる感情もまた人間の幸福の条件であることが示されているように思います。そしてそこにこそ、ガザが置かれている状況があるなかでさえも、「希望」のメッセージを届けられる可能性があるのではないかと思います。
そのためにも、私自身がこの朗読劇を通して一歩でも二歩でもその思いに近づいていけるよう頑張りたいと思います。
ガザ通信アンサンブル、エヴァ・バートレット(インターナショナルズの証言)
君が代日の丸の強制反対や、日本軍慰安所問題、ピースウォークなどに参加してきたが、パレスチナ問題には、あえて距離をおいていた。ところが、2008年12月27日から岡真理さん経由で、アブデルワーヘド教授のメールを連日受信して、衝撃をうけた。パレスチナが私にやってきたと思った。混乱と不安の年末年始だった。その「ガザ通信」を朗読していることに驚き、つながりに感謝している。2012年よりレバノンのパレスチナ難民の里親となる。いつの日にかパレスチナを訪問することを楽しみにしている。
京都市左京区在住。子1、夫なし。訪問介護職。台所で、ひとり竹内浩三の日記や尹東柱の詩を朗読するのが好き。
ブログ http://miteikou.exblog.jp/
ガザ通信アンサンブル、ジェニー・リネル(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部2回生。昨年2月の京都公演。私は観客席で大きなショックを受けただただ涙していた。目の前で展開され、押し寄せ、そして私の内部へと入り込んできた「パレスチナ」。その時の、体の奥で激しく震えた何かが涙となって溢れ出た感覚は今でも鮮明に覚えている。それから約1年。今度は、観客ではなく役者としてこの朗読劇の舞台に立つ。
私自身はまだまだひよっこの子つばめだが、目の前を飛んでいる大人つばめたちの助けを借りながら、懸命に羽ばたきたい。この朗読劇を通じて得たものが「声」にのって観客のみなさんへ届くように。そして、みなさんの心を揺さぶる何かを残せるように。
脚本、演出、エヴァ・ヤシエヴィッツ(インターナショナルズの証言)
京都市在住。東京外大アラビア語科1年のとき、ガッサーン・カナファーニーの小説を読み、パレスチナ文学とパレスチナ問題に衝撃的邂逅。以来、パレスチナとかかわりながら、文学を通してパレスチナ問題を思想的に研究することを志す。現在、京都大学総合人間学部教員。アラブ文学、パレスチナ問題を教える。 著書に『アラブ 祈りとしての文学』(みすず書房、2008年)、『棗椰子の木陰で』(2006年、青土社)ほか、訳書にターハル・ベン=ジェルーン『火によって』(以文社、2012年)、サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ』(青土社、2009年、共訳)、サイード・アブデルワーヘド『ガザ通信』(青土社、2009年、共訳)など。
演出補佐
演劇が社会的に持つ力の研究を行っている。アメリカ滞在時にパレスチナにルーツを持つ友人に出会い、パレスチナの現状や背景を知り、衝撃を受ける。日本に帰国するに際して何かできることはないかと探したところ、国境なき朗読者たちの存在を知る。この朗読を通しての、様々な形での「出会い」を大切にしたいと強く考えている。
田村喜久子(たむら・きくこ)
ピアノ(間奏曲作曲、演奏)
京都市出身。ピアニスト。読売新人演奏会出演、リサイタル開催、関西フィルとの共演、ニューヨーク、ウィーン、ブルガリアソフィア、ロシアサンクトペテルブルグでの公演等、国内外にて活動。声楽、器楽、合唱団などの伴奏ピアニストとして、また編曲、作曲等の楽曲制作など多方面の分野に取り組む。 ・・・『ガザ希望のメッセージ』との出会い。壮絶で悲惨な現状を知り伝えること。朗読劇の持つ力を感じ描き作品を追求する世界から、絶望、やるせなさ切なさの中に深い優しさと静かに希望を貫く強い意志を持った音楽が生まれました。時代を越えて訴える人々の心、魂を受け取り、戦争への憎しみ平和への祈りを楽曲に込めて・・・。
スタッフ
高校の頃から朗読が好きで、特に読み手と聞き手が同じ空気を共有するあの時間が好きです。ですから、二年前初めてこの朗読劇を聞き、あの場を共有した時は本当に震えました。パレスチナにこんなアプローチの仕方があるのだと思いました。
今回参加したのは今まで怖いからと避けていた自分が関心を持ち続けるための楔になると思ったからです。少しでもお手伝いができればと思います。
京都在住のサブカル・オタクです。ささやかながらも、何か協力できる事があるならと思い、参加させていただきました。パレスチナからの声に耳をかたむけていただける時間を、つくれたらと思います。
「パレスチナの子供の里親運動」の里親のひとり。長年、アムネスティ・インターナショナル日本のメンバーとして死刑問題に取り組んでいるが、岡真理さんと知り合い、ガッサーン・カナファーニの小説に触れ、衝撃を受ける。いまやガザは大きな刑場と化し、パレスチナの人々はまるで「死んでもいい、あるいは死んでも当然」とされ、世界から無視され続けている。これは、死刑問題とどこか根底で繋がっている。
安藤栄里子(あんどう・えりこ 1969年6月4日‐2012年4月14日)つばめクラブ・プロデューサー
うら若き20代、内戦下で人権弾圧が続くグアテマラの地を踏んで、新聞社のペンを鍼に持ちかえた。「国境なき鍼灸師」をめざしたが、34歳で「多発性骨髄腫」という血液ガン(原発職員に労災認定)を発病。体内で繰り広げられる「病」と「免疫細胞」との攻防を観察し、2007年に骨髄移植を受けた。以後、ドナー細胞と自身のカラダの境界線で勃発する、更なる“紛争”(拒絶反応などの副作用)と向き合う日々。フクシマ、チェルノブイリ、普天間、パレスチナ・・・と国境なき痛みに想いを馳せながら、カラダと地続きにある「赦し」と「和解」について問い続けている。 一昨夏、企画を手がけた『冬の兵士-イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実-』(岩波書店)の朗読会で、「肉声」がはらむ力と想像力トレーニングへの可能性に目覚める。本朗読劇の脚本と出逢い、2009年9月11日、へいわをめざす朗読集団「国境なき朗読者たち」をおかまり座長と旗揚げ。鬼座長の駄目出しと、病の再燃を掻い潜り、痛快な“いまここ”を更新中。つばめクラブ・プロデューサー。 [2011年12月京都チャリティ公演時に執筆のプロフィール]
Keukmi KIM (きむ・くんみ) サイト構築運営・広報 2009年の夏、翻訳メンバーに加わった『冬の兵士-イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実-』(岩波書店)の朗読会を企画。はじめての朗読劇で、「読むこと」がこんなにも力強く、読み手と聞き手双方にもたらす力があることを知る。2009年9月、平和をめざす朗読集団「国境なき朗読者たち」の旗揚げ公演に娘とともに参加。その年の11月に渡米後、朗読者として劇に参加する代わり、後方支援として、劇団のインターネットサイトを構築、運営にあたる。 現在、悪の巣窟NYでオキュパイ運動に参加したり、NYローカルニュースを日本紙に執筆しつつ、石けんやナチュラルコスメを制作する。
過去の共演者
佐藤 愛 (さとう・まな) 「ガザ通信」アンサンブル、シャロン・ロック(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部5回生。「思想としてのパレスチナ」ゼミメンバー。都立国立高校出身。 小学生のときに見たドキュメンタリー映画「プロミス」で、漠然とパレスチナに関心を持つ。2010年春の現地訪問で本格的に興味に火が点き、岡先生のもとで学ぶように。 「ガザ、希望のメッセージ」日本中東学会公演および京都国際会館チャリティー公演への参加や再度のパレスチナ訪問などを経て今に至る。 朗読劇への出演は三度目だが、練習するたびに新しい発見があり、パレスチナへの思いが新たになる。その成果を演技にのせて、客席と共有したい。
関口一騎(せきぐち・かずき)ガザ通信アンサンブル、ヴィットリオ・アッリゴーニ(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部2回生。 都立国立高校出身。
こたつの温もりをこよなく愛する20歳。
髭が濃すぎるのが悩み。
井上みどり(いのうえ・みどり) ガザ通信アンサンブル、ジェニー・リネル(インターナショナルズの証言)、ナディヤ(ガザからの手紙)
京都大学総合人間学部2回生。 これまで都市・建築に熱意をそそいできたものの、ユダヤ人のホロコースト問題に興味をもったことをきっかけに、岡先生の講義を履修し始める。 また、今年の夏休みにアウシュヴィッツ収容所を訪問したとき、他の観光地と同じような気持ちで訪れる人々(門の前でピースサインをして記念撮影)、人によっては必要以上に思われる広大な土地を未だ維持し続ける理由・・・等々、様々な疑問と出会う。現在は、アウシュヴィッツ収容所や原爆ドームをはじめ「負の遺産」やその「場所」の意味について考えたいと思っている。私自身ガザ攻撃当時は、パレスチナの状況に恥ずかしながら無関心だった。しかしこの朗読劇を通して、さらにイスラエル・パレスチナの友人の影響もあって、他人事ではなくなり、今この出来事に向き合おうとしている。
市川森彦(いちかわ・もりひこ) ガザ通信アンサンブル、ムスタファー(ガザからの手紙)、ナタリー・アブー・シャクラ(インターナショナルズの証言)
京都大学総合人間学部3回生。パレスチナを学び始めて1年半のこの夏、初めて聴いた朗読を前に、あまりに激しく辛いガザ攻撃の描写に胸が痛くなった。 文字と写真と映像でしか知らないパレスチナに、自分の言葉として声にすることで、近づかなければという気持ちにさせられる。 直接かかわりがあるとは言えない日本の私たちはガザへいかに応答すればよいだろうか?その一つの答えが朗読劇であり、朗読劇を通してさらなる答えを見出したい。
大内 雅子 (おおうち・まさこ) 「ガザ通信」アンサンブル
京都大学法学部3回生。アラビア語中級クラス。 初めて参加した5月の京大公演で、パレスチナの現状を何も知らない自分にもどかしさを感じ、9月に初めてパレスチナに足を踏み入れる。実際に自分の目で見て肌で感じたことで、そして何より現地の大学生と友達になれたことによって、自分の心の中でのパレスチナとの距離が一気に縮まった気がした。まだまだ勉強中の身だが、この経験を胸に、心新たにこの朗読劇に挑みたいと思っている。
梶原 玲子 (かじわら・れいこ) 「ガザ通信」アンサンブル、ナレーション
今回初めて参加します。自分がいったいどれほどの想像力を持ち合わせているのかと、途方にくれる日々です。 パレスチナに暮らす人々、とりわけガザという町で生きている人々。イスラエルに暮らす人々、イスラエル軍兵士として任務を遂行し続ける人々。そして、その姿を黙って上から見ている強大なもの、人が抱え続ける果てしない心の闇・・・それは、日本という国に暮らすわたしの毎日に起こる、ごくささいなこととも、けっして無縁ではないはずで。 パレスチナという土地が生まれながらに持っている土や水や空の色。とても美しい場所なのだと思う。はなはだおぼつかないけれども、そういうことに思いを馳せるところから、なんとか始めたいと思います。
桐生 隆文 (きりゅう・たかふみ) 「ガザ通信」アンサンブル
何の因果か、今回の「ガザ 希望のメッセージ」に出演することになりました。 現役時代は主に労働運動分野でしたが、2年前に定年退職をして後はゆっくりと思っていました。思いもかけない転身です。昨年チュニジアに始まった「アラブの春」の風を、占領下のパレスチィナにも、原発災害下の日本にも吹かせたいと思い、出演の誘いに乗りました。座長の岡さんから何回もダメ出しを受けながらも、おだてに乗って練習してきています。何とか皆さんの足を引っ張らないようにと心掛けてはいますが、当日までに間に合いますやら。
稲荷 明古 (いなり・あきこ) 「レイチェル・コリーさんのメール」レイチェル役、「ガザ通信」アンサンブル
岡山にて不登校ながらも七人兄弟の最年長者として親を泣かせつつ奔放に育つ。2001年に京都精華大学環境社会学科入学、細川弘明ゼミに学ぶ。自衛隊員と付き合っていた1年生当時、9・11事件に衝撃を受け、同年末の熊本県水俣への訪問が契機となり、この社会で自分に何が出来るのかを悩み始める。2002年に日本のODAダムにより暮らしを奪われたインドネシアの人々と出会い、裁判を支援する中で日本政府が持つ問題に直面。一人ひとりの人生を簡単に左右する国家の暴力性に想いを深めることから、日本の戦争犯罪についての認識を改める。また、大切な仲間と出会う一方で組織の矛盾と罪を痛感する。卒論は醤油にまつわるフィールドワーク。旧日本軍に性奴隷にされたおばあさん達と出会い2005年から京都証言集会に参加。フリーター生活、就職先での解雇やいじめ、介護職を経験し体調を持ち崩すが徐々に快復。周囲の人に支えられながら自身と向き合い京都で暮らしている。人と美味しいものを食べること、歌い踊ることをこよなく愛する。公開電子雑記帳「稲荷屋」管理人。備前焼・稲荷作工房「無月窯」営業(自称)。よろしくお付き合い下さい!
過去のスタッフ
馬谷 修 (うまたに おさむ) スライド
京都大学総合人間学部 5回生。「思想としてのパレスチナ」ゼミ。アラビア語中級クラス。2009年、「ガザ、希望のメッセージ」頴展公演では、「ガザからの手紙」のソロパートを担当。今回はスタッフとして活躍。アルジェリアの都市をポストコロニアル的観点から研究。
伊藤 奏美(いとう・かなみ) スライド
京都大学総合人間学部 2回生。「思想としてのパレスチナ」ゼミ。アラビア語中級クラス。11月祭実行委員。かぼちゃが大好き。
加藤 太知(かとう たいち) 照明
京都大学総合人間学部 9回生。「思想としてのパレスチナ」ゼミ。アラビア語初級クラス。